時を束ねて リボンをかけて

2022-05-11 (Wed) 23:35

ヤングケアラ―という言葉を初めて知った。

8日の日曜日に放映されたNHKスペシャル「ヤングケアラーーSOSなき若者の叫び」を録画していたので今日観た。

いやあ・・・なんということだ。
GDP世界3位で、経済大国、先進国と言われている日本で、こういうことが起こっているなんて。
福祉の手がまったく届かない世界。
いろいろなヤングケアラーがでてきたが、ヤングケアラーなんて言葉は私は初めて知った。



43歳の男性の場合、彼が38歳の時に母親が亡くなる。
その時まで30年間親の介護をしてきた。

父親を早くに亡くし、祖母と母親と暮らしてきたが、彼が25歳の時に母親が大腿骨骨折で寝たきりになってしまう。
母親は精神的に不安定になり、医師やヘルパーとのかかわりを拒み、息子だけにしか触らせなくなった。

子供は親の所有物ではないという価値観を持つことはできなかったのだろうか?
そういう考えを持てるのなら、精神的に不安定にはならなかったのかもしれないが。
自分がいないと母が困るという彼の使命感・・・。
それにしても過酷だ。
運動会や修学旅行さえ参加できていない。
進学も就職もせず介護に明け暮れ、母親が亡くなり、介護から解放されても外に出ない。
摂食障害を起こし固形物が食べられなくなり、母親のために作っていた流動食が、自分の食事になった。


ヤングケアラーの人達の誰かに相談したかという当事者1,000人のアンケートの結果が出ていた。

まったく相談したことがない
ほとんど相談したことがない
あまり相談していない

という答えを合わせると72.9%

その理由は、複数回答だが、

相談しても意味がない
他人には相談しづらい
相談する必要がない
相談することを考えたことがない
相談する人が周りにいない
相談する余裕がない
相談しないよう家族から言われている

と続く。

最下位の回答の相談しないよう家族から言われているというのは、まさに子供のことを考えていないと、失礼ながら私は思う。

人間はいつ何時何があるか分からない。
親が若くても病気になることもあるだろうし、それに伴って子供に負担をかけるということが子供の人生を奪いかねない。

子供のためにがむしゃらに助けを求める行動を起こすことも、親の責任だと私は思うが。

昨年神戸市で全国で初めてヤングケアラ―専門窓口ができた。
組織の壁を越えて窓口を一本化し、学校、医療機関、民生委員、区、介護事業所などと連携しながら、一人一人に寄り添って支援する。
グラフ化されて映像で流されたが、それを見ると、寄り添うといっても、相談するには敷居が高そうに私には見えた。
壁を越えてといういい方はきれいだが、壁があるというのは分かるような気がする。

自治体のアンケートで支援する場合の困難は、複数回答だが、

家族が支援を拒む、求めてこない 77.4%
本人が支援を拒む、求めてこない 76.1%


私も両親の介護を長いことしてきたが、すでに私は子供時代があって青春を謳歌する時代があって、仕事もありそれなりの知恵もついていた。
だからできたということもある。
それでも、なんで私ばかり・・という思いはあった。
いやあ・・・こういう子供の時から親の介護をしている人を思うと、私はなんと幸せな介護時代だったのだろうと思う。

この43歳の人の親が亡くなってから、自分だけが生きているのは卑怯なのではないかと思って死ぬことばかり考えていたと言っていたが、親子が密着しすぎると親は幸せだったかもしれないが、これは弊害だと思わざる得ない。
ただ、本人は家族のケアをして過ごした時間を大変だったけれど、大切な時間だったと。
う・・・ん・・・あまりにも優しい。
番組の最後に彼は同じ経験をしたグループと出会い、外に出るようになり週4日スーパーで働くようになった。
胸が痛くなるような辛い番組だったが、最後に希望を見せてくれたことが救いだった。



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Last Modified : 2022-05-12
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