時を束ねて リボンをかけて

2022-09-03 (Sat) 23:52

「さくら猫と生きる」

「さくら猫と生きる」
副題は「殺処分をなくすためにできること」

今西 乃子 著
2015年6月
ポプラ社 発行

図書館から借りた本 読了。

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児童書である。
だから字も大きし、漢字に仮名がふってあるところもあるし、あっという間に読み終えた。

千葉県で地域猫の活動をしている女性のドキュメンタリー。

「さくら猫」というのは猫を飼っている人なら誰でもわかると思うが、TNR後に地域猫として見守るために去勢、不妊済みの猫である証として耳の先を桜の花びらのような形にカットされた猫。
TNR(Trap Neuter Return)とは、捕まえて不妊去勢手術を終えた猫たちを、元の場所に戻すこと。

さくらのカットが今では当たり前になっているが、昔はただチョキンと耳の先っぽを切るだけだった。

この本には、どこの地域でもいまだにある、いわゆる野良猫問題が書かれている。

子供が読んで、どのくらい理解できるのか・・・良質な内容ではあるが、親子で読んだほうがいいと思う。



東日本震災後、しばらくして大型スーパーのペットフード売り場でのこと。
フードを選んでいる時に、一人のとても若い青年と何がきっかけか忘れたが話した。
私から話かけるということはないはずだから、何か質問されたのかもしれない。

猫が行方不明になってしまい、さんざん探してやっとある施設で見つけることができたと。
猫種はアメリカンショートヘア。
そこは強調していた。
で、その猫の耳がカットされていたと。
そのカットされていた…と話した時に、その青年が言葉に詰まって、突然涙が出て目を押さえたのだ。

若く幼いその青年の、その涙に・・・私はどういう言葉をかけたのかよくは覚えていない。
あの混乱の時期に、行方不明になったペットは多かっただろうし、保護してくれた人がいて、みつけることができただけでも奇跡なのかもしれないというようなことを言ったのだと思う。
その青年は、だけど耳が・・と言ってまた泣いたのだ。

だけど耳が・・と言われた言葉は、結構生々しく覚えているのだ。

無防備に突然目の前で泣かれたから私はうろたえて、とても印象に残った出来事だった。


あの青年も、年月が過ぎて今では立派な大人になっていると思う。
そして、再会できた猫ちゃんはまだそばにいるだろう。
あの時はさくら猫になってしまった自分の猫のことで頭がいっぱいだったかもしれないが、現在の彼は、震災後の保護活動をしていた人たちの苦労の末に、自分の猫が戻ってきたのだということを理解していると思いたい。
そして、猫はどんな種類でも可愛いのだということを分かっていてほしい。


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Last Modified : 2022-09-03
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