時を束ねて　リボンをかけて

今年、友達が遊びに来ることになっていて何しろ4時間もかかるので、昨年も来たのだから無理しないでほしいと思っていたら、スケジュールがいっぱいで結局来春になった。
正直ほっとした。
もうすっかり寒い。
この時期に来られても、風邪をひかせて帰すようになる。
布団だって、客用は1組しかないから娘と一緒なら、雑魚寝ができる夏がいい。

というようなことを言って延期になって実はよかったと私は言った。

彼女は今、知り合いの82歳の女性のお世話をしている。
プロテスタントだから、同じ教会の昔からの知り合い。
認知症になってしまい、施設の入居の準備などを彼女がこなしたらしい。
一人暮らしだったが、子供がいる人で、他県に離れて住んでいる。
妹さんもいるが、その人も離れて住んでいて80歳。
施設の件もそうだが、他人のことなのに、他人のことに首を突っ込まなければならない状況で、かなり大変そうだ。
施設もみつかってホッとしたら、その人にガンがみつかって、余命宣告を病院から彼女が聞かされた。
子供さんと妹さんには彼女から連絡して、近々に会うらしい。
人はどこまで他人のことに口出せるのか。
出せないから、血縁がいる以上、どうするのか決めてもらうしかないということだ。
本人は認知症だからしょうがないにしても、その子供も妹さんも他人の好意に(つまり彼女の好意に）甘えている気がする。
だけど、最後の決断は彼女にはできない。
そこは黒子に徹する。


2年くらい前から、知り合いのおばあさんの面倒を見ていると聞いてはいたが、詳しいことは聞いてなかったから、そんな状況だとは思わなかった。
彼女らしいといえば彼女らしい。
私には聖書の話とか、そういうキリスト関係の話はしないから、普段は意識しないけれど、他人のためにそこまで無償の慈悲をかけられるのは、宗教を持っている人の強みなのかもしれないとしみじみ思った。


ところで私の財布の中に免許証と保険証が入っている。
そしてメモも入れてある。
私に何かあった場合のメモで、緊急連絡先は彼女である。
孤独死の話になったときに、私の緊急連・・・とそこまで言った時に、彼女が言った。
「私にして！」と。
私と息子との複雑な関係を知っているから、そう言ってくれたのだ。
だから、私の緊急連絡先は彼女である。
実は私もまた、その認知症のおばあさんと同じで血縁ではない人に甘えなければならない一人なのである。
だから思う。
血縁とは何か？



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