時を束ねて　リボンをかけて

前に住んでいたところで、唯一移住を知らせて、応援してくれた知り合いに電話をした。
私のブログにもたびたび彼の母親を登場させていた、私の性格を理解している人である。
あまりにもあちこちの河川の氾濫のニュースが多いので、そういえば、彼の家のすぐそばにも大きな川が流れていたことを思い出したのだ。
そして彼の家の場所は川から見ても低いところにある。
もしかしたらと思ったら、床上浸水になったとのこと。
後片付けに追われていた。
電気は来ているが、断水しているので、掃除もなかなか進まないとのことだった。
畳は駄目になったから、畳はやめてフローリングにすると言っていた。
シンクの下まで水に浸かったので、そこに入れていた鍋類は捨てた。
断捨離をしようと思っていたものばかりが水に浸かったと。
この際だから一気に捨てるということだった。。
職場も機械類が水に浸かって、再生はできないだろうと言っていた。

落ち込んでいるかというと、口調は明るい。
まいったよと言いながら、心はしょうがないと切り替えていた。
お風呂は娘さんところに行ったり、山の中に別荘を持っている友達のところに入りに行っているそうだ。
ユニークな友達が多い人で、その別荘も仲間たちが手伝って手作りで建てたものだ。
社交性がある人だから、助けてくれる人はたくさんいるから、友達が入れ替わりで片づけを手伝ってくれている。


ところで今年の５月に102歳になっていた彼の母親は、先月、亡くなったと。
知らせが来なかったのは私への気遣いだ。
訃報は知らせないと前から言われたから。
私がその生き方を尊敬していた女性だ。
強くてたくましくておおらかで自立していた。
96歳で骨折するまで、山の中の一軒家で一人で暮らしていた。
体が弱く働けない夫の代わりに力仕事で家庭を支えた女性だ。
治ったら、また山の中に戻るつもりだったけれど、子供たちの説得で山を下りた。
何度もその女性のすばらしさをブログに書いたから、古いブログ友達にはおなじみの人である。
末っ子で長男の彼との二人暮らしは、話を聞けば聞くほど面白かった。


亡くなる一週間前から昏睡状態になり、苦しまずそのまま逝ったと。
大往生だよ～、めでたいことだと言っていた。
だから、私も大往生だね～と言ったのだ。
そして台風でのそういう家の状況を見ないで逝けたのは良かったのだと私は言った。

たくさん学ばせてもらった。
感謝しかない。


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