時を束ねて リボンをかけて

2020-02-26 (Wed) 23:11

おしゃべりなおばちゃんは、やらない。

隣家にお悔みに行ってから、私は後追いでもされたら困ると思って、暗くなってから家に灯りが点いているかを確認していた。
1週間後、庭で草むしりをしていたら、隣のご主人が出てきた。
朝の挨拶を交わしたが、特別落ち込んでいる様子もなく安心した。


「俺のほうが先に逝くと思っていたのに、女房が先に逝くとは思わなかった。
俺もあと2年くらいかなあ…。
まあ、50才まで一人でいたから、女房とは40年一緒にいたが、また一人に戻っただけだ。」と言った。
二人とも結婚が遅かったのだ。
50歳と54歳か。

ワンコおじさんに、自転車を飛ばして買い物に行っている姿を見たと聞いていたし、私は安心して、電灯の確認をやめたのだ。

それから、ずっと会ってなかった。
ところが先日、洗濯物を取り込んでいる時に、家から出てきた。
3日間、入院していたと言う。
食べ物が胃の中に落ちていかなくて検査入院していたとのこと。
あら~それは大変でしたね。と私は言った。
入院していたことなんて全く知らなかった。
私はコロナのこともあるし、引きこもりを継続中だから。
すると、ついに口から出た。
「甥がわけのわからないことを言い出したのだ。俺は怒鳴ったんだ!!」
まるで、私に怒っているかのように語気を強めた。

現実を知ったのか・・・。
いずれ知ることになるとは思ったけれど。
甥ごさんの言ったことは想像がつく。
食事がのどに通らないほどのショックを受けたことも想像がつく。
そして、この年齢で知る苦悩も孤独感もひしひしと伝わってくる。


だけど、聞くわけにはいかない。
というか、聞きたくない。
まあ・・なにがあったんですかぁ・・とか、どうしたんですかぁ・・とか、好奇心丸出しにして、おしゃべりなおばちゃんはやらない。
あくまでも関知しない。
めったに顔を合わせることのない隣人にすぎないし、気のおけない友達とは違う。
自分のキャパを超えてまで、それを受け止める力は私は持ち合わせていないのだ。


だから、そこはスルーして、「検査結果はどうだったのですか?」と話をすり替えた。
どこも、悪いところはないと言われたそうだ。

それはよかった~!!!
私なんて、そんな検査入院したら、悪いところがたくさん出てきそうだわ~と明るく言って家に入った。

私は優しくはないのだ。
冷たい人間である。


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Last Modified : 2020-02-26
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