『「奴隷」になった犬、そして猫』
太田匡彦 著
2019年11月30日 発行
朝日新聞出版
図書館から借りた本、 読了。

第1章
猫ブームの裏側、猫「増産」が生む悲劇
第2章
「家族」はどこから来たのか、巨大化するペットビジネス
第3章
「骨抜き」の12年改正、あいまい規制が犬猫たちの「地獄」を生む
第4章
環境省は「抵抗勢力」なのか、19年改正をめぐる「攻防」始まる
第5章
8週齢規則ついに実現、犠牲になった「天然記念物」
終章
「家族」になった犬、そして猫・・・
この著者の「犬を殺すのは誰か ペット流通の闇」は昔読んでいる。
悪徳業者による繁殖犬、繁殖猫の扱いは何段にも積み上げられた小さなケージに入れっぱなしで飼育し、ひたすら産ませ続ける。
私は映像で観たことがあるが、悲惨過ぎてグアっと心にこみあげるものがあって涙が出た。
社会問題にもなったのに、ペット業界の反対もあって思うように規制強化は進んでこなかかった。
著者は10年以上にわたって、このペットにまつわるビジネスの現場を取材してきている。
ライターとして冷静な取材や読み解く資料の陰で、著書の怒りや悲しみが読者に伝わってくる本だった。
引き取り屋といわれる現場も取材しているが、売れ残ったあるいは繁殖能力が終わった犬や猫をお金を支払ってもらって引き取る。
引き取ったから、幸せな最期が迎えられるわけではなく、狭いゲージの中での床は金網で糞尿がたまるようになっている。
そういうなかで本来は人間によって幸せになれるはずだったペットたちが、糞尿の中で毛玉だらけになり、猫は爪も砥げず巻き爪になって肉球に食い込む。
愛情などとはほど遠いその世界の中で死を迎えるのだ。
16年の初夏のある大手ペットショップチェーンが開催した繁殖者向けのシンポジウムの取材。
ショップチェーン所属の獣医師の講師の、猫の効率のよい繁殖をテーマにした内容。
猫は日照時間が長くなると雌に発情期がくる「季節繁殖動物」などと説明して、繁殖用の雌猫に1日12時間以上照明を当て続けることを推奨している。
そうすれば1年を通じて繁殖するようになると述べているのだ。
野良猫、野良犬も悲惨だが、同じように、繁殖から流通・小売りの過程において年間2万5千匹の犬猫が死んでいることも悲惨である。
行政の殺処分数を上回る数が流通過程で亡くなっている。
この本を読んで書きたいことは山ほどある。
読んでいる途中でこれも書きたいと付箋をつけていけば、これほどになった。

しかし、残念ながら筆力が私にはない。
ただ、最初のほうで雑誌猫びよりの編集長の言った、
「本当に猫が好きな人ほど、今の猫ブームに疑問を持ち始めている」というのは本当だろうと思いたい。
命あるものに「商品管理」「商品在庫」という言葉が行きかうペットビジネスの現場。
その「商品」を作るための繁殖犬、繁殖猫。
私は暗澹たる思いがする。
命を金で買うということに抵抗がない人たちの現実。
かわいい、一目ぼれ、と言って衝動的に安易に買い求められることを、ペットショップが望んでいる。
小さいときは一時なのに、こんなはずじゃなかった、うるさいとこれまた安易に捨てる人もいる。
その一方で保護猫保護犬が、一匹でも引き取られてしあわせになることを望んでいる保護活動家の奮闘もある。
一匹一匹の性格をわかったうえで、飼い方のアドバイスも受けられるし、相性も大事にする。
ペットショップに行く前に、野良猫、野良犬、保護猫、保護犬に目を向けてほしいと私は切に願っている。
ペットショップで買わなければならない人たちもいるだろう。
保護犬や保護猫を貰おうとしても、年齢などでハネられてしまう人たちだ。
だから、ペット業界にとって衝動的に買う人や高齢者は、ありがたいターゲットの対象になってしまう現実。
ペットショップなどで今いる猫や犬を購入した人達は、その仔の親たちがどれほど悲惨な状態だったかを想像してみれば、もっともっと今手元にいるペットを大事にしなくては・・・と思うだろう。
著書も書いている。
「大切な「家族の一員」の親たちはいまどういう環境で生きているのか?きょうだいたちはいまどこでどうしているのか?
そもそも生きているのか?すべての飼い主が想像してみることが、日本で暮らすすべての犬猫たちを巡る環境をよりよいものにする第一歩になるはずだ」
と。


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太田匡彦 著
2019年11月30日 発行
朝日新聞出版
図書館から借りた本、 読了。

第1章
猫ブームの裏側、猫「増産」が生む悲劇
第2章
「家族」はどこから来たのか、巨大化するペットビジネス
第3章
「骨抜き」の12年改正、あいまい規制が犬猫たちの「地獄」を生む
第4章
環境省は「抵抗勢力」なのか、19年改正をめぐる「攻防」始まる
第5章
8週齢規則ついに実現、犠牲になった「天然記念物」
終章
「家族」になった犬、そして猫・・・
この著者の「犬を殺すのは誰か ペット流通の闇」は昔読んでいる。
悪徳業者による繁殖犬、繁殖猫の扱いは何段にも積み上げられた小さなケージに入れっぱなしで飼育し、ひたすら産ませ続ける。
私は映像で観たことがあるが、悲惨過ぎてグアっと心にこみあげるものがあって涙が出た。
社会問題にもなったのに、ペット業界の反対もあって思うように規制強化は進んでこなかかった。
著者は10年以上にわたって、このペットにまつわるビジネスの現場を取材してきている。
ライターとして冷静な取材や読み解く資料の陰で、著書の怒りや悲しみが読者に伝わってくる本だった。
引き取り屋といわれる現場も取材しているが、売れ残ったあるいは繁殖能力が終わった犬や猫をお金を支払ってもらって引き取る。
引き取ったから、幸せな最期が迎えられるわけではなく、狭いゲージの中での床は金網で糞尿がたまるようになっている。
そういうなかで本来は人間によって幸せになれるはずだったペットたちが、糞尿の中で毛玉だらけになり、猫は爪も砥げず巻き爪になって肉球に食い込む。
愛情などとはほど遠いその世界の中で死を迎えるのだ。
16年の初夏のある大手ペットショップチェーンが開催した繁殖者向けのシンポジウムの取材。
ショップチェーン所属の獣医師の講師の、猫の効率のよい繁殖をテーマにした内容。
猫は日照時間が長くなると雌に発情期がくる「季節繁殖動物」などと説明して、繁殖用の雌猫に1日12時間以上照明を当て続けることを推奨している。
そうすれば1年を通じて繁殖するようになると述べているのだ。
野良猫、野良犬も悲惨だが、同じように、繁殖から流通・小売りの過程において年間2万5千匹の犬猫が死んでいることも悲惨である。
行政の殺処分数を上回る数が流通過程で亡くなっている。
この本を読んで書きたいことは山ほどある。
読んでいる途中でこれも書きたいと付箋をつけていけば、これほどになった。

しかし、残念ながら筆力が私にはない。
ただ、最初のほうで雑誌猫びよりの編集長の言った、
「本当に猫が好きな人ほど、今の猫ブームに疑問を持ち始めている」というのは本当だろうと思いたい。
命あるものに「商品管理」「商品在庫」という言葉が行きかうペットビジネスの現場。
その「商品」を作るための繁殖犬、繁殖猫。
私は暗澹たる思いがする。
命を金で買うということに抵抗がない人たちの現実。
かわいい、一目ぼれ、と言って衝動的に安易に買い求められることを、ペットショップが望んでいる。
小さいときは一時なのに、こんなはずじゃなかった、うるさいとこれまた安易に捨てる人もいる。
その一方で保護猫保護犬が、一匹でも引き取られてしあわせになることを望んでいる保護活動家の奮闘もある。
一匹一匹の性格をわかったうえで、飼い方のアドバイスも受けられるし、相性も大事にする。
ペットショップに行く前に、野良猫、野良犬、保護猫、保護犬に目を向けてほしいと私は切に願っている。
ペットショップで買わなければならない人たちもいるだろう。
保護犬や保護猫を貰おうとしても、年齢などでハネられてしまう人たちだ。
だから、ペット業界にとって衝動的に買う人や高齢者は、ありがたいターゲットの対象になってしまう現実。
ペットショップなどで今いる猫や犬を購入した人達は、その仔の親たちがどれほど悲惨な状態だったかを想像してみれば、もっともっと今手元にいるペットを大事にしなくては・・・と思うだろう。
著書も書いている。
「大切な「家族の一員」の親たちはいまどういう環境で生きているのか?きょうだいたちはいまどこでどうしているのか?
そもそも生きているのか?すべての飼い主が想像してみることが、日本で暮らすすべての犬猫たちを巡る環境をよりよいものにする第一歩になるはずだ」
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Last Modified : 2020-12-27